同族会社の行為又は計算の否認

Posted by on 2015年9月12日

中野区の税理士(飲食店に強い)の三堀貴信です。同族会社の行為又は計算の否認について。

同族会社の行為又は計算の否認規定は、法人税法、所得税法、相続税法において適用されます。

たとえば、法人について。法人税法132条では、次のように規定している。

税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

 内国法人である同族会社

 イからハまでのいずれにも該当する内国法人

 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
 その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
 ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。
 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法 (平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項 (同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
上記において、注目すべき点は、「更生又は決定をする場合」 という文言です。このように規定されていることから、行為計算否認の規定は、修正申告の根拠にはならないと解釈されます。
したがって、税務調査で、同族会社の行為計算の否認を理由に、修正申告を求められた場合であっても、これは修正申告する義務はなく、課税庁が、更正又は決定すべき事項であることに留意する必要があります。
なお、上記規定により否認された場合にはその金額は、役員報酬等として課税されることになろうかと思われます。
では、具体的にはどのような場合にこの規定が適用されるのでしょうか。多くありますが、主なものを挙げると、
①出資資産の過大受入れ
②所有資産の低廉譲渡
③資産の効果買入れ
④個人的寄付金
⑤無収益財産の出資又は譲渡
⑥過大給与
⑦用益の贈与
⑧過大料率による親族等所有資産の賃借(過大管理料)
⑨債務の無償引受け等
⑩不良債権の肩代わり。ほか
この場合、中でも特に問題となりがちなのが⑧の過大管理料かと思われます。実務上も役員等(社長本人、親族等関係者個人)から土地等を賃借し、経営をしている場合も多いと思われます。この場合、その賃借料が適正か否かが問題となります。親族であるがゆえに、恣意性の介入する余地が多分に憂慮されるからです。
過大管理料の問題点は以下の通りです。
①不動産収入(所得)を圧縮
②法人に所得を移転
③役員報酬として親族等に所得を分散
④給与所得控除と税率の差額分で税額を圧縮
以上のような問題点が考えられます。このようなことをあからさまにすれば、租税回避行為、悪くすれば逋脱行為や脱税行為(ケースバイケースであり、解釈次第ですが)としてとらわれないとも言い切れません。やはり、適正額での計上が肝要かと思われます。
それでは、何パーセントならOKなのかということですが、特段通達などがあるわけではないのですが、一般的には、過去の判例等を考慮すると不動産収入の20%未満が一つの目安になるかと思われます。もちろんこれは絶対的な数字ではありません。通常、不動産管理料の相場は、不動産収入の8パーセント前後といわれています。ですから、この一般的相場に合わせるのが最も無難な方法であるかと思われます。
なお、社長が会社に貸付金があり、会社の経営の経営悪化等の理由により、貸付金の返済を免除するような場合は、社長個人の単独の行為ですので、同族会社の行為・計算の否認規定は適用されないと思われます。

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