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役員報酬

Posted by on 2015年9月7日

中野区の税理士(飲食店に強い)の三堀貴信です。「役員報酬」について。

役員報酬もすべてが全額損金算入されるわけではありません。法人税法上、法人が役員に支給する役員報酬については、定期同額給与の要件を満たす必要があります。
定期同額給与とは原則として、各支給時期における支給額が同額であるものをいいます。
定期同額給与の額を変更する場合には、一定の制限があります。
具体的には、期首から3か月以内にされる通常の改定の際の改定であるか、それ以外の改定については、法人税法等に定める一定の事由(役員の地位変更や経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由等)に該当する必要があります。

また、飲食店等における「まかない」などの自家消費について、当該自家消費に係る経済的利益が役員報酬(定期同額給与)に該当するか否かで、自家消費部分が損金に算入されるか、損金不算入となるかその取扱いが変わってきます。

定期同額給与について、国税庁ホームページでは次のように公開しております。各通達を抜粋致します。

【新設】 (定期同額給与の意義)

9-2-12 法第34条第1項第1号《定期同額給与》の「その支給時期が1月以下の一定の期間ごと」である給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいうのであるから、例えば、非常勤役員に対し年俸又は事業年度の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものは、たとえその支給額が各月ごとの一定の金額を基礎として算定されているものであっても、同号に規定する定期同額給与には該当しないことに留意する。

(注) 当該非常勤役員に対する年俸又は期間俸等の給与につき令第69条第2項《事前確定届出給与の届出》に定めるところに従って納税地の所轄税務署長に届出をしている場合には、当該給与は法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与に該当する。

 

【解説】

1 損金の額に算入される定期同額給与とは、役員に対して支給する給与で次に掲げるものとされている(法34①一、法令69①)。

①その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与

②その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるもの(以下「定期給与」という。)の額につき当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(以下「会計 期間3月経過日」という。)までにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与(法令69①一)

ⅰ) その改定前の各支給時期(当該事業年度に属するものに限る。ⅱにおいて同じ。) における支給額が同額である定期給与

ⅱ) その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与

③定期給与の額につき当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り、②に該当する場合を除く。)の当該事業年度のその改定前の各支給時期における支給額及びその改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与(法令69①二)

④継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの(法令69①三)

上記①又は②の「その支給時期が1月以下の一定の期間ごと」である給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいうことと解されており、この点、平成18年度税制改正前の法人税法における「定期の給与」と変わるところはない。したがって、例えば、非常勤役員に対する役員給与で、その額が各月ごとの一定額を基礎として定められているものであっても、年俸又は期間俸として年1回又は年2回といった所定の時期に支給するものは、支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与に当たらないため、定期同額給与には該当しない。
本通達はこのことを明らかにしている。

2  ところで、平成18年度税制改正前の法人税法においては、役員に対する臨時的な給与のうち、他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるもの、例えば、非常勤役員に対して年1回又は年2回所定の時期に支給する給与は、役員報酬に該当し、不相当に高額な部分の金額及び事実を隠ぺいし又は仮装して経理することにより支給するものを除き、損金の額に算入することとされていた。
上述のとおり、改正後の法人税法においては、このような給与は定期同額給与として損金の額に算入することはできないこととなっているが、他方、その給与が毎年所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づき支給するものであれば、事前確定届出給与として一定の時期までに所定の事項について所轄税務署長への届出を行うことにより損金の額に算入することができるのである。
本通達の(注)において、このことを念のため明らかにしている。

3  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通8-2-11)を定めている。

(注)上記解説は、平成19年度税制改正前の法令の規定に基づいて作成している。
なお、平成19年度税制改正により、同族会社に該当しない法人が、その役員の職務につき「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」に基づいて支給する給与で、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その定めの内容に関する届出がない場合にも損金の額に算入することとされている(平成19年改正後の法34①二)。

(私見)この解説でポイントとなるのは④の「おおむね一定」であるというところでしょう。たとえば、役員等が自分のお店の食材等を自己で無償で飲食(自家消費)に供した場合等には、売上に計上するとともに、原則として、役員報酬等として処理することになるかと思われますが、その場合、規定を普通に解釈するならば、当該自家消費した部分は経済的利益となり、役員報酬となると考えられますが、この「おおむね一定」に該当しないと考えるならば、勘定科目的には役員報酬になったとしても、自家消費部分については損金不算入となる可能性もあるということです。もちろん「おおむね一定」の経済的利益と判断するならば、定期同額給与として損金算入になる可能性もあります。その辺は解釈によって異なってくると思われますが、この規定だけでは、どうするかは判断がつきかねるという印象を持ちますが、以下の掲げる通達の創設の趣旨を鑑みれば、まかない等については、毎月おおむね一定であれば(極端にデコボコしなければ)、定期同額給与と考えて差し支えないかと思われます。

(債務の免除による利益その他の経済的な利益)

9-2-9 法第34条第4項《役員給与》及び法第36条《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊の関係のある使用人をいう。以下9-2-10までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。(平19年課法2-3「二十二」により追加、平22年課法2-1「十八」により改正)

(1) 役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額

(2) 役員等に対して所有資産を低い価額で譲渡した場合におけるその資産の価額と譲渡価額との差額に相当する金額

(3) 役員等から高い価額で資産を買い入れた場合におけるその資産の価額と買入価額との差額に相当する金額

(4) 役員等に対して有する債権を放棄し又は免除した場合(貸倒れに該当する場合を除く。)におけるその放棄し又は免除した債権の額に相当する金額

(5) 役員等から債務を無償で引き受けた場合におけるその引き受けた債務の額に相当する金額

(6) 役員等に対してその居住の用に供する土地又は家屋を無償又は低い価額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額に相当する金額

(7) 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額

(8) 役員等に対して無償又は低い対価で(6)及び(7)に掲げるもの以外の用役の提供をした場合における通常その用役の対価として収入すべき金額と実際に収入した対価の額との差額に相当する金額

(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの

(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額

(11) 役員等が社交団体等の会員となるため又は会員となっているために要する当該社交団体の入会金、経常会費その他当該社交団体の運営のために要する費用で当該役員等の負担すべきものを法人が負担した場合におけるその負担した費用の額に相当する金額

(12) 法人が役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約を締結してその保険料の額の全部又は一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額に相当する金額

(私見)上記の(1)、(2)、(3)が、飲食店における役員等の自家消費上、問題となる箇所かと思われます。

【新設】 (継続的に供与される経済的利益の意義)

9-2-11 令第69条第1項第3号《定期同額給与の範囲等》に規定する「継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」とは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるものはこれに該当することに留意する。

(1) 9-2-9の(1)、(2)又は(8)に掲げる金額でその額が毎月おおむね一定しているもの

(2) 9-2-9の(6)又は(7)に掲げる金額(その額が毎月著しく変動するものを除く。)

(3) 9-2-9の(9)に掲げる金額で毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの

(4) 9-2-9の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等(その額が毎月著しく変動するものを除く。)

(5) 9-2-9の(11)及び(12)に掲げる金額で経常的に負担するもの

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  平成18年度税制改正により、役員に対して支給する給与(退職給与、ストックオプションによるもの及び使用人兼務役員に対して支給する使用人分給与並びに事実を隠ぺいし又は仮装して経理することにより支給するものを除く。)のうち損金の額に算入されるものの範囲は、定期同額給与、事前確定届出給与及び一定の要件を満たす利益連動給与とされた。この改正後の規定においては、役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に該当することとされている(法令691三)。

2  本通達は、この場合の「その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」の範囲について、次のように例示的に明らかにしている。

(1) 役員に対する資産の贈与、資産の低廉譲渡又は用益の無償若しくは低価による提供で、その経済的利益の額が毎月おおむね一定しているもの
 これには、例えば、毎月支給する現物給与等で、その額がおおむね一定しているものがある。

(2) 役員に対する居住用の土地、家屋の無償若しくは低価による提供又は金銭の無償若しくは低利率による貸付けで、その経済的な利益の額が毎月著しく変動するもの以外のもの
これらの経済的利益の供与では、例えば、金銭の貸付けであれば、元本の返済状況等により利息の額が逓減していき毎月の経済的利益の額が一定していないものもあろうが、そのような場合であってもその額が毎月著しく変動するものでなければ「その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」として取り扱われる。

(3) 役員に交際費等の名義で支出したもののうちでその費途が不明なものやその法人の業務に関係がないと認められるもののうち、毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの

(4) 役員の個人的費用のうち住宅の光熱費、家事使用人の給料等で法人が毎月負担するもので、その経済的利益の額が毎月著しく変動するもの以外のもの
これらの経済的利益の供与では、例えば、住宅の光熱費では季節による変動が、家事使用人の給料等では毎月の給与とは別の賞与の支給などにより、必ずしも毎月の経済的利益の額が一定していないものもあろうが、そのような場合であってもその額が毎月著しく変動するものでなければ「その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」として取り扱われる。

(5) 役員が会員となっている社交クラブの経常会費その他の費用又は役員の生命保険料で、法人が経常的に負担しているもの
これらの経済的利益の供与は、例えば、社交クラブの経常会費などは必ずしも毎月支出するものではないが、当該役員が現に受ける経済的利益の額がおおむね毎月一定であるものと考えられることから、法人が経常的に負担するものであれば、「その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」として取り扱われる。

3  なお、定期同額給与に該当する経済的利益の供与に関連して、例えば、法人が役員にグリーン車の定期券を支給している場合でその定期券が6ヶ月定期であるときや、役員が負担すべき生命保険料を負担している場合でその保険料を年払契約により支払っているときについては、これらの支出が毎月行われるものでないことから、その供与される経済的利益の額は定期同額給与に該当しないのではないかとの疑義を抱く向きもあるようである。
しかしながら、「その供与される利益の額が毎月おおむね一定」かどうかは、法人が負担した費用の支出時期によるのではなく、その役員が現に受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるかどうかにより判定することとなる。したがって、上記のように、法人の負担した費用が、その購入形態や支払形態により毎月支出するものでない場合であっても、当該役員が供与を受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるときは、定期同額給与に該当する。

4  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通8-2-10)を定めている。

(私見)飲食店における役員等に対する自家消費が、役員報酬として経費に該当するかどうかの判定の基準となるのは上記のゴシックの部分(1)が問題となると思われます。この通達は、上記、9-2-9の(1)、(2)又は(8)に規定する「経済的利益」をより具体的にするために、創設されたものかと思われます。役員等の自家消費が、(1)に該当するならば、役員報酬に含まれる経済的利益として法人税法上、損金算入して問題ないという解釈になるかと思われます。しかし、ここでも「おおむね一定」というキーワードが出てきます。つまり、課税庁では、「おおむね一定」という言葉を使用することにより、規定に柔軟的性をもたせ、実務的に幅をもたせた運用を可能ならしめようとしているものかと思われます。したがって、結論としては、「おおむね一定」であるならば(極端に変動するようなものでなければ)、役員の自家消費は経済的利益と判断して役員報酬に含め、損金算入しても問題はないかと思われます。


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