増税延期に伴う消費税の軽減税率の見直し
中野区の税理士(飲食店が得意)の三堀貴信です。注目の税務会計ニュース「増税延期に伴う消費税の軽減税率の見直し」について。
消費税の増税の延期が発表されて久しいですが、今回は、「消費税の税率アップに伴う軽減税率」の見直しについて。
消費税が10%にアップされると軽減税率というものが採用されるという話でした。
軽減税率とはなにかというと、簡単にいうと、消費税の課税対象ごとに税率を事細かに決めていこうという考え方だと言えます。
たとえば、食料品は8%で、他の商品は10%などというような例が該当します。
2016年9月6日現在、当然消費税の軽減税率は採用されてはいないのですが、将来において採用されようとしています。
実際、今回消費税の税率が変更されていたら、それに伴い軽減税率も導入されていたと思われます。
結論から申しますと、軽減税率には反対と言わざるを得ません。消費者、事業者ともに何のメリットもないと考えられるからです。
軽減税率の問題点はいくつもありますが、その中でも特に影響を看過することができないものをピックアップしたいと思います。
まずは、問題点としては以下のようなものが生じる可能性があります。
①事業者の事務処理の負担が増えるということ
これについては当然の帰結かと思われます。商品ごとに税率が異なれば当然に事務処理も煩雑化していきます。
②消費者にとって分かりずらい
租税は明瞭・簡潔をもって理想とする側面があります。商品ごとに税率が異なることは消費者に混乱と困惑をもたらす虞れが大きいと思われます。
(たとえば、水に係る消費税なら、清涼飲料水なら税率据え置き、水道水は10%に税率アップなど)
③インボイス制度の導入
これが一番の問題と考えるのですが、インボイス制度というものが導入されるものと思われます。インボイス制度とは、適格請求書等保存方式といわれるもので、「インボイス方式」は、課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを控除することができる方式をいいます。
これのどこが問題かというと、インボイス制度が導入されたとすると、以下のような問題点が生じると思われるからです。
(ア)インボイス方式では、「免税事業者は「インボイス」を発行できない。したがって、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができない。 」とされています。免税事業者からの仕入等については、仕入税額控除ができないわけですから、取引をする相手は課税事業者にしようとすることによる、免税事業者の取引からの排除の虞れがある。
(イ)上記(ア)の問題については、免税事業者は、課税事業者を選択することにより、回避することは可能であると思われるが、このことは、本来免税事業者であるものが課税事業者を選択することを意味し、消費税法における免税事業者の規定を有形無実化させる弊害がある。
以上のような問題が生じる可能性があります。
以上の点から、軽減税率及びそれに伴うインボイス制度の導入については全面的に反対です。税率は単一税率にするべきであり、消費税の控除についても従来通りの方法(領収書等)で十分だと思われます。
個人的には、インボイス制度を導入することによる免税事業者の課税事業者選択に伴う増税効果でも狙っているのかという考えを、惹起させるものと思われます。このことは、換言すれば、「目に見えない増税」ともいえるのではないでしょうか。
税理士政治連盟も、税制改正要望として、連盟をあげて、消費税の軽減税率の見直し、インボイス制度の取りやめ(現行の請求書等保存方式の維持)を全力を挙げて進めてくれています。
我々消費者もこのような事実に目を向けて、政治に注目し、消費税が正しい方向に進むように厳しく政治を監視するべきであると思います。
みなさんはいかがお考えでしょうか。(^◇^)
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