軽減税率決着へ

Posted by on 2015年12月12日

中野区の税理士(飲食店が得意)の三堀貴信です。「軽減税率決着へ」について。

消費税の軽減税率について、一定の道筋が示されたようです。

ヤフーニュース・TBS系(JNN)の記事によれば、

「軽減税率の対象になるのは生鮮食品だけか、加工食品も含めるのか。長く続いた議論の結論が見えてきました。自民党の谷垣幹事長と公明党の井上幹事長は、10日午後会談し、再来年4月の消費税10%への増税の時点から、加工食品全般を対象にする方向で最終調整に入りました。これで、肉や野菜などの生鮮食品に加え、ハムやカップ麺、菓子パンや総菜などの幅広い加工食品が、消費税が10%に増税されても8%に据え置かれることになります。・・・(中略)・・・軽減税率の対象を加工食品にまで広げたことで問題になってくるのが、税収の落ち込みです。生鮮食品だけを対象とした場合は3400億円程度の落ち込みで、この財源の手当てはめどがたっていました。ただ、加工食品全般まで含めると、1兆円規模で税収が減ってしまいます。さらに6000億円もの財源の手当てが必要ですが、そのめどはたっていません。・・・(中略)・・・また、そもそも低所得者の税負担を和らげることが目的のはずの軽減税率ですが、高額な食料品も対象となるため、「消費の多い高所得者の方が得をする」という指摘もあります。・・・(後略)・・・」

以上のように記事ではまとめられています。

軽減税率ですかぁ。実務に携わる人は、単一税率の方がいいって方が多いのではないでしょうか?複数税率になったら経理処理が煩雑になるという・・・。

今回は食品類で幅広く税率が据え置かれるといった感じですね。記事では軽減税率の対象を生鮮食品のみならず、加工食品にまで広げたことによる税収の落ち込みが懸念されているようですが、たしかに、落ち込んだ税収の財源をどうするのかといった本質的な問題は解決していないように思われます。

また、軽減税率の対象とする項目についても、かなり恣意性の介入する余地があるように思われます。各団体・業界の政治への圧力や力が影響するようでは税の公平性が保てません。これは租税公平の原則に反するものになりかねないといえます。

また記事の後半でも述べている高所得者が得をするという指摘というのはまさに、お役立ち情報でもさんざん言っておりますが、消費税の逆進性の問題が表出したものであるかと思われます。

そもそも租税というものは簡易であることが望ましいとするのが租税法の基本理念でありますが、軽減税率のこのような適用の仕方はこの原則に反するのではないかと個人的には思います(軽減税率そのものを否定しているのではありませんが)。

また、現在は食料品については、据え置き?ということになりそうな感じではありますが、今後、食料品についても事細かに税率を区分適用してくる可能性だって否定はできないと思われます。その場合、消費税の税率の判定にあたっては実務上煩雑を極めるのではないでしょうか。消費者にとっても明瞭性に欠けるものとならざるを得ないと思われます。

なんだか、もうちょっといい方法はないのかなぁと思ってしまう今日この頃でございます。みなさんはどうお考えでしょうか。(´・ω・`)


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