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配偶者控除のの見直し議論

Posted by on 2016年9月9日

中野区の税理士(飲食店が得意)の三堀貴信です。注目の税務会計ニュース「配偶者控除の見直し議論」について。

政府が所得税法の改正の一環として、所得税の抜本的な見直し議論を始めた模様です。

以下、ヤフーニュース・時事通信より、一部抜粋

『専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しなどが柱。安倍晋三首相はあいさつで「女性が就業調整を意識せずに働くことができるようにするなど、多様な働き方に中立的な仕組みを作っていく必要がある」と述べ、所得税の抜本改革を検討するよう指示した。』

『配偶者控除は妻の年収が103万円以下の場合に、夫の所得税の負担を軽減する制度。妻が年収103万円を超えないように労働時間を抑制するなど、女性の社会進出を妨げる一因になっているとの指摘がある。このため、政府税調は首相の指示を踏まえ、見直しを検討する。 』

以上のように掲載されています。

配偶者控除の廃止を論ずるときに、よくその理由として挙げられるものとして上記のものがあります。
つまりは、女性の就業調整と女性の社会進出の阻害という論点です。

この点については、違和感を感じ得ません。

要するに、配偶者控除のせいで、女性が103万円を意識して、その範囲内で働こうとするため、就業時間を意識している。その就業時間調整のせいで、社会的な出世を阻害されているという論調です。

その側面もゼロではないのでしょうが、大局的に見たら配偶者控除を無くす理由としては弱いと思われます。

103万円の壁、つまり配偶者控除が廃止されたら、はたして、上記の問題は解決されるのでしょうか。問題は別のところにあると思われます。
むしろ、配偶者控除を廃止することの弊害の方が大きいと思われます。

また、配偶者控除の適用要件である103万円の壁はなにも所得税にだけ関係する問題ではありません。住民税にも配偶者控除はあります。こちらはどうするのでしょうか。
会社等における配偶者手当の支給要件についてもこの税務上の103万円に依拠しているところも見受けられますし、金額の違いこそあれ、健康保険の被扶養者、国民年金の3号被保険者の問題等、年収を基準とした問題はほかにもたくさんあります。

この問題は、所得税だけの問題ではなく、住民税や社会保険もトータルで考えていかなければならない問題かと思われます。

また、危惧することは、年収を基準とした制度は上述したとおり、ほかにもあるため、今回の所得税の配偶者控除の廃止を皮切りに、他の制度も同考えのもと、廃止をしていくという流れになるのではないかということです。

配偶者控除を廃止することは目に見えない増税です。配偶者控除の制度の趣旨は、基礎控除などと同じで、本来は、憲法25条の生存権における最低生活費の控除であるといえます。
にもかかわらず、女性の社会進出の阻害などを理由に、その本来の趣旨を鑑みずに、廃止を論ずることは、納税者の予測可能性に反するものであり、租税法律主義の大原則に反するものであると考えます。

みなさん、いかがお考えでしょうか。(^◇^)


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