マイナンバーの実務

Posted by on 2015年10月10日

中野区の税理士(飲食店に強い)の三堀貴信です。「マイナンバーの実務」について。

マイナンバーの実務のフローと内容について。

1.基本方針・取扱規定等の策定

基本方針の策定と取扱規定等の策定はどちらも特定個人情報保護委員会が策定した、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」(以下ガイドライン)に定められており、個人番号関係事務を行う事業者はこれに対応する社内規定を作成する必要がある(中小規模事業者については義務ではない)。規定には、個人番号を取り扱う事務の範囲と特定個人情報等の範囲を明確にし、事務取扱担当者を明確にする必要がある。

2.番号収集を対象者に通知

社会保障および税に関する手続書類の作成のために必要がある場合に限って、従業員等に個人番号の提供を求めることができる。番号収集の対象者には、番号利用目的を明確に伝える必要がある。対象は社内の従業員・パート・アルバイトのほか、社外で取引のある顧問弁護士・税理士、賃貸不動産のオーナー、外部講師、執筆者等も含まれる。
個人番号を持たない海外赴任者、派遣社員は対象外となる(派遣会社等が取り扱うため)。

3.収集

個人番号収集は対面による手渡し、郵送、インターネット経由での送付の3種類がある。

4.本人確認

個人番号を収集する際は、本人確認が必須となる。この本人確認は、①番号確認、②身元確認の双方が必要である。個人番号カードがあれば、1枚で①、②の双方を満たすことができる。雇用関係にあることなど、本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認を不要とすることも認められる。
代理人の場合は、①代理権の確認(法定代理人の場合は、戸籍謄本など、任意代理人の場合は、委任状)、②番号確認、③代理人の身元確認が必要である。
扶養家族の本人確認は、扶養家族の個人番号の提供が誰に義務付けられているのかによって異なる。税の年末調整の場合、事業者への提出義務は従業員にあり、事業主には本人確認をする必要はない。従業員は、個人番号関係事務実施者として、その不要家族の本人確認を行う必要がある。
国民年金の第3号被保険者の届出では、従業員の配偶者(第3号被保険者)本人が事業主に対して届け出を行う必要がある。通常は従業員が配偶者に代わって事業主に届け出をすることが想定されるが、その場合は、従業員がその配偶者の代理人となるため、事業主は代理人から個人番号の提供を受ける場合の本人確認を行う必要がある。

5.安全に管理する

ガイドラインでは4つの安全管理措置を講じるように求めている。中小規模事業者における対応も記載されている。
①組織的安全管理措置
個人番号の管理者等組織体制の整備など。中小規模事業者は業務日誌等の取り扱い記録を残せばよいとされている。
②人的安全管理措置
個人番号を取り扱う担当者を教育・監督する。
③物理的安全管理措置
情報漏えいを防ぐため、個人番号を保存する場所へのICカードなどによる入退出管理、間仕切りなどを設置したり、のぞき見防止のための配置にする、データやファイル、書類が盗難されないように機器や電子ファイルを施錠できるキャビネット等に保管する、など。
④技術的安全管理措置
個人番号のデータやファイルなどのアクセスは担当者のみに限定する。インターネット経由でマイナンバーを送信する際はIDやパスワードを設定する、ウイルス対策ソフトを導入する、外部からの不正アクセスからデータを守る対策、データの暗号化、クラウド化をする、など。

6.委託

個人番号利用事務または個人番号関係事務については、全部または一部を委託、再委託することができる。この場合、委託者は委託先・再委託先に対し、必要かつ適切な監督を行う義務がある。具体的には以下が求められる。
①委託先の適切な選定
②委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結
③委託先における特定個人情報の取り扱いの把握

7.利用・提供

番号法第19条で限定的に定められている場合以外は、原則として、個人番号・特定個人情報を利用・提供することはできない。例外でこれらの利用・提供が認められているのは、激甚災害時の金融機関の支払い、生命、身体または財産の保護など緊急性がある場合などです。
(番号法19条にて限定的に明記された場合)
①個人番号関係事務実施者からの提供(第2号)
②本人または代理人からの提供(第3号)
③委託、合併等に伴う提供(第5号)
④株式等振替制度を活用した提供(第10号)
⑤特定個人情報保護委員会からの提供の求め(第11号)
⑥各議員審査等その他公益上の必要があるときの提供(第12号)
⑦人の生命、身体または財産の保護のための提供(第13号)
※上記①~⑦に該当する場合は、個人番号・特定個人情報を利用・提供しても良いということです。

8.保管

特定個人情報は、社会保障および税に関する手続書類の作成事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることができます。
※個人番号が記載された書類等のうち所管法令によって一定期間保存が義務付けられているものは、その期間保存する必要がある。

9.廃棄

社会保障および税に関する手続書類の作成事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけすみやかに廃棄または削除しなければならない。廃棄はシュレッダー・溶解などで復元不可能な状態にする必要があります。


※免責事項
当事務所の「税務会計ニュース」及び「お役立ち情報」等で提供している各種ニュース及び各種情報等につきましては、お客さまに不測の損害・不利益などが発生しないよう適切に努力し、最新かつ正確な情報を掲載するよう注意を払っておりますが、その内容の完全性、正確性、有用性などについて保証をするものではありません。
したがいまして当事務所は、お客さまが当事務所のホームページの税務会計ニュース及びお役立ち情報等に基づいて起こされた行動等によって生じた損害・不利益などに対していかなる責任も一切負いませんことを予めご了承ください。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
※本情報の転載および複製等を禁じます。

 

免責事項

当ウェブサイトを利用される方は、下記の免責事項を必ずお読みください。
当ウェブサイトのコンテンツを利用された場合、下記の各事項に同意されたものとみなさせていただきます。

  • 当事務所は、コンテンツ(第三者から提供された情報も含む)の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、本サイトのコンテンツを構成する各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。
  • 当事務所は、本ウェブサイトにおいて、その利用者に対し法的アドバイス等を提供するものではありません。 従って、当事務所は本ウェブサイトまたは本ウェブサイト掲載の情報の利用によって利用者等に何らかの損害(直接的なものであると間接的なものであるとを問いません)が発生したとしても、かかる損害については一切の責任を負いません。
  • ウェブサイト上のコンテンツやURL等は予告なしに変更または削除されることがあります。
  • 本免責事項は予告なしに変更されることがあります。本免責事項が変更された場合、変更後の免責事項に従っていただきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加