山本太郎と消費税廃止について

Posted by on 2019年8月22日

中野区の会計事務所・税理士の三堀貴信です。「山本太郎と消費税廃止」について。

れいわ新選組・山本太郎氏が掲げる、「消費税廃止」。
消費税廃止について是非について考えてみたいと思います。

1.消費税廃止は可能か?
消費税廃止は可能と考えます。消費税を廃止するという議論をするときに、推進派が持ち出してくる理論が財源論です。
消費税を廃止した分の財源は、所得税の累進税率の強化と金融所得課税の総合課税化及び法人税の累進課税の導入で可能となります。
れいわ新選組の公約ではないですが、個人的には、一定の超大企業に限り、現行の「同族会社の留保金課税」と同様の制度を導入することも一考の余地ありと考えています。

2.租税法理論的に廃止
消費税は、その逆進性ゆえ、租税公平主義に反し、憲法違反です。よって消費税は廃止することが妥当です。
また、消費税は、消費に対する罰金的性格を有することから、消費者が消費する機会を奪うものと言えます。
消費生活に対して機会損失を生じさせることは、憲法の幸福追求権に抵触する可能性があります。

3.導入背景的に廃止
消費税は、安定した財源の確保、幅広く課税することができる(水平的公平)、直間比率の見直しなどの理由により導入された背景を持ちます。
安定財源については、消費税を導入した結果、消費が冷え込み、所得税と法人税の税収減少を招いています。よって安定財源とはいえないでしょう。
税の基本は、担税力課税(応能負担)が原則です。水平的公平や応益負担などの言葉は単なる詭弁であり、税の根本原則に反すると思われます。
したがって、水平的公平や応益負担などの考えは、租税公平主義の原則からも妥当性を欠くものといえるでしょう。
また、直間比率の見直しという観点ですが、そもそもなぜ見直す必要があるのか意味不明であり、そのような発想そのものがナンセンスといえるのではないでしょうか。

4.税の根本原則から廃止
税の基本は、簡素・公平・中立です。消費税は、各取引の段階で課税される多段階課税を採用しており、その内容は複雑です。
また、導入される予定の軽減税率は複雑怪奇であり、まさに簡素に反するものといえます。

5.システム的観点から廃止
消費税は、そのシステム上、売り上げた事業者が、消費税を預かって納付することを原則としています。
しかしながら、取引先や消費者との関係上、商品等の価格に消費税を転嫁することができない場合があります。
この場合、消費税は実質的には商品等を販売した事業者が負担していることになり、消費税の基本的考えが崩壊しています。
このような場合の消費税は、もはや間接税ですらなく、直接税の性格を有するであろうと思われます。

6.現行の法規範の観点から廃止
現在の消費税法では、一定の事業者には免税制度が導入されています。
今後インボイス制度の導入が予定されておりますが、これは、消費税の免税規定を有名無実化するものであり、認められるものではないと考えます。

以上の理由により、消費税は廃止することが妥当であると思われます。


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